ほくろ・脂漏性角化症・皮膚悪性腫瘍
ほくろ
まずは良性のほくろか、悪性のほくろか、などの判断を行います。肉眼での判断が困難な場合は、ダーモスコピーで拡大して判断することになります。 良性の場合は、取るか取らないかは本人の希望次第です。
基本的には再発のリスクの小さい外科的切除となりますが、最近は術創が小さくて済む電気メスやCO2レーザーを選択される方が増えています。部位や大きさや隆起性か非隆起性かで向き不向きがありますので、まずはご相談ください。
悪性のほくろは、メラノーマと呼ばれる悪性度の高い腫瘍です。悪性が疑われる場合は、患者さんの希望を踏まえて、実績があり信頼できる病院に紹介させて頂くことになります。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は、褐色~黒色調の少し盛り上がって表面のガサガサしたイボのような小腫瘤で、顔面、頭部、頚部、体幹、四肢など、全身の広い領域に出現します。
老人性色素斑(いわゆるしみ)が徐々に大きくなり盛り上がってきたものがほとんどで、痛みや痒みなどの自覚症状はありません。 治療は、液体窒素による冷凍凝固や、CO2レーザーや電気メスによる蒸散・焼灼、病理検査が必要な場合には外科的切除になります。
皮膚悪性腫瘍
悪性のほくろ(メラノーマ)の他にも、基底細胞癌や有棘細胞癌などの皮膚悪性腫瘍が肉眼で疑われる場合は、ダーモスコピーで拡大して判断することになります。その結果、悪性が疑われる場合は、患者さんの希望を踏まえて、実績があり信頼できる病院に紹介させて頂くことがあります。
粉瘤・線維腫・血管腫
粉瘤
粉瘤は、アテロームや表皮囊腫とも呼ばれ、正常皮膚が毛穴などから皮下に迷入して袋(囊腫)を形成したものです。粉瘤(袋)の内部には、垢が熟成した粥状物が充填されており、粉瘤の臍(もともとは毛穴など)からはときどき臭いの強い粥状物が圧出されますが、それに気付かないこともしばしばです。
悪性の可能性は低いので、小さい場合や痛みなどの自覚症状の無い場合は経過観察をすることが多いですが、治療としては皮膚と袋を一体で摘出する外科的切除となります。 時に粉瘤の内部で細菌が増殖(化膿)し、赤く腫れて痛みや熱感を生じることがあります。
この時には一般的に抗生剤を内服します。また腫れや痛みが重症で自発痛がある場合には、麻酔後に袋の一部を小さく切開して中から膿や粥状物を開放することがあります。
他方最近では、くり抜き法という簡単な手術を行うことが多くなりました。直径4mm前後の円形のメスで粉瘤のへそ(真ん中)に穴をあけ、その穴から膿や粥状物や袋を取り出す方法です。
外科的切開よりは 術創が目立たないことや化膿している粉瘤にも対応可能な根治術である反面、根治率が下がることや大きな粉瘤には対応困難であるなどの短所もあります。詳細は、経験豊富な当院に是非ご相談ください。
線維腫
軟性線維腫は、頚部、腋窩、鼡径部などに好発する正常皮膚色~淡褐色の、隆起性~有茎性の小腫瘤で、脂漏性角化症に次いで良く見られる皮膚の良性腫瘍です。痛みや痒みなどの自覚症状はありませんが、大きくなると引っ掛かって出血することがあります。
治療は、小さければ液体窒素による冷凍凝固や、CO2レーザーや電気メスによる蒸散・焼灼、病理検査が必要な場合には外科的切除、と脂漏性角化症に準じます。神経線維腫の治療も基本的に同じです。皮膚線維腫は、原則外科的切除となります。
血管腫
老人性血管腫は、鮮紅色の小丘疹が体幹中心に多発するもので、体質や加齢が原因とされています。大型のものは外科的切除の対象となりますが、多発する小型のものはCO2レーザーや電気メスでの蒸散・焼灼などの簡易的な施術で対応します。
静脈湖は、口唇に好発する暗青色の小結節で、傷つけて出血が止まりにくかった経験を持つ患者さんも少なくありません。ほとんどが単発性なので、外科的切除が基本となります。 単純性血管腫は、生下時からある非隆起性の紅色斑で自然消退することはありませんが、前額部生じるサモンパッチは例外的で2歳ごろまでに自然消退します。治療は色素レーザーが基本となります。
いちご状血管腫は、生後間もなく出現し、約半年間は徐々に拡大し隆起しますが、数年で瘢痕を残して自然消退します。自然治癒することから以前は経過観察するのが主流でしたが、最近は瘢痕化を回避するためにレーザー治療、外科的切除、一部の施設では内服治療も行われるようになってきました。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
施術装置: CO2 ESPRIT